三重苦

やっと37度にまで熱も下がったので
記憶が飛んでしまわないうちに今回の舞台の事を書いておこうと思います
きっと今後の自分にとって貴重な経験になるハズだから・・・


三重苦・・・
1.声が出なくなった
2.38度の熱
3.右ヒザ甲下打撲


それでも、この三重苦は最初から全てそろっていた訳ではありませんでした
元々喉が弱く、年間通して鼻声気味・・・
スグに声がかすれるし
堰が出たりするのも当たり前だったので
実はそんなに気に留めていなかったんです
でもそれが・・・多分そこが悪夢の出発地点だったのかもしれません
「喉が痛いな」
と感じたのは実は2月に入ってすぐの事でした
今思えば・・・
思った時点でスグに医者に行っていれば・・・
※後の祭り
その喉が原因でとうとう舞台初日、発熱
38度・・・
ふらつきながら初演を迎える
途中で薬が切れてミスを連発・・・
※解熱剤を服用していたけど汗をかけば吹き飛んでしまう事も忘れていた
おまけに声はでない
(今回、台詞がない役だった事が救いだった
※でもその分、踊りまくりでしたけど・・・


「このままではいけない」
解熱剤だけでなくドリンク多飲で夜公演を何とかクリア!!!
ミスヒトツなく見た目は完璧に乗りきった
※納得はしてないけど・・・
途中で解熱剤が切れ、熱が上がっていくのを感じていた
それだけに
自分自身でもガッツポーズしたくなるようなミスのなさだった
まさに気合と集中力の賜物?!
観に来てくれたMには公演後に熱があった事を話した
(ミスしたら言わないつもりでした
M「全く感じませんでした」
よっしゃ♪


でも、悲しい事に・・・
この成功が自信を呼び、余裕を生み?
新たな問題を抱える結果になってしまうなんて・・・


とりあえず家で熱を下げ、薬を飲んだ
これで何とか今日一日クリア出来るとあたしは意気込んでいた
なのに
舞台本番の時間が近づくと不安な気持ちが飛び交い始め
朝飲んだ薬の効用が消えない前に
あたしは昼の分の薬も飲んでしまったのだ
多分、これが災いした・・・
本番中何度も頭の中が白くなった
記憶が飛びまくって朦朧となった
可能な限りは意識を呼び覚まそうと頑張ったけど
後半は精神的にも苦しくなって
途中、右ひざをつく振りの時
思いっきりガクン!!と床に打ち付けた
※これが3つ目となる打撲・・・
でもその瞬間はこれが引き金となり
我に返り、後半の4曲を何とか乗り切れた


多少の痛みを伴っているし、青く晴れ上がっていたけれど
そんな事よりも90分間、どうやって意識を集中できるかしか頭になかった
もう、薬に頼るのはやめよう!!!
ドリンク剤だけを飲み、気力だけで夜公演をクリア!!!
とりあえず今出来る限りの自分を出し切った事で
あたしはホットしていた・・・
残すはあと1日!!!
舞台上で倒れてもいいから乗り切ろう
今日、薬ナシでも何とか乗り切れた事で
あたしは少し、自信を取り戻しつつあった
そしてその自信だけを頼りに・・・あたしは眠りについた
足の痛さを感じてはいながら何のケアもなしに・・・


翌日、やはり朝起きると熱は平熱
病院に行こうかと思ったけれど
熱がないなら・・・と、昨日の自信が体に漲っているあたしは
意気揚々と出かける
そして昼公演・・・
衣装に着替えると又うっすらと熱が上がってきたのを感じる
しかしそんなのもうへっちゃら!!!
今のあたしはそんな熱ごときでは負けないんだから〜!!!
が・・・
きた!!!
きたきたきたきた
ヒザだ・・・
痛い
痛くて歩くのも辛い
何?何なの??
右ヒザの激痛を突然感じ、意識が集中できなくなった
ミスった・・・
あ、又ミスった・・・
頑張れ
踏ん張れあたし・・・
あまりの痛さにあたしは舞台袖に下がる度に涙が流れた
痛いから?
違う
悔しいからだ
だって
熱は気合で乗り切ろうと思ったのに
気合で乗り切るための体にも支障が起きた
じゃぁ一体あたしは何を支えに頑張ればいいの?!
舞台が終わる頃には、あたしは袖に下がる度に崩れ落ちていた
モチロン記憶する限り・・・
今までの舞台経験の中で一番ミスが多かった


そして
舞台の幕が降りた後もあたしは立ち上がる事が出来ず
楽屋の隅でうずくまり
そして一人泣き続けた
悔しかった
とにかく悔しかった
そして一人・・・二人と楽屋に皆が戻ってきた
あたしは力を振り絞ってトイレへ移動
トイレで一人、泣き続けた


1時間経っただろうか
もうサスガに涙は枯れただろうと思い、代表の下へ怪我の申告へ行った
でも・・・
枯れたハズのあたしの涙はまだまだ健在だったのだ
あたしは怪我を報告しながら又涙を流していた
それを見て何事かと皆が集まってきた
知られたくなかったのに・・・
そして傷を見てもらう
「これ、立ってるのもやっとでしょ」
「こんなんでヨク踊れたね」
「なんで黙ってた」
「これじゃ、泣きたくもなるよね」
やはり、タダの痣じゃなかったのだ
Tの母が看護婦・制作部長のNも少し知識があるため
簡単に観てもらう
打撲か?!
甲にもしかしたら水が溜まっているかもしれない
そうなると怪我は深刻・・・
でもその時のあたしには、先の事よりも
次の数分後に始まる楽公演の事で頭がいっぱいでした


どうやって乗り切るのか?!


どういう訳か
今回のあたしが踊った振りは右ヒザで回ったり右ヒザをつく振りが多い
既に熱は38度を超えていた
そんな状態で足にまで神経を使う事はできるのか?!
皆は心配して声をかけてくれる
でもその度にあたしは笑顔を振りまかなければならなくて
実は辛かった
放っておいて欲しかった
だって、この辛さはあたしにしかわかんないんだから・・・
それでもあたしは笑った
「ありがと」
「ごめんね」
「頑張るよ」


そしてあたしは気づくとこの日、朝から何も食べていなかった事に気づいた
色々気が動転していたのだと思う
NとGにSOSを送り
本番始まってからだけどドリンク剤だけがあたしの手元へ届いた
そしてあたしの意地と根性vs三重苦の舞台が幕を開ける


とにかく痛かった
前半は少し、痛みを抑えているように見えちゃった箇所があったかもしれない
でも袖に入れば誰かが手を差し伸べてくれた
そんな皆の気持ちに答えるためにも
「足が折れても、ぶっ倒れてもいいから最後まで踊りきる!!!」
あたしはそう決心した


大好きなナンバー「天使」では曲の終わりと共に拍手が起こった
嬉しかった
嬉しくて舞台の上だというのに・・・あたしは涙が流れた
そんなお客様や出演の皆の手助けもあって
あたしも最後はいつの間にか痛みを忘れて踊っていた
エンディングやカーテンコールは痛みや何もかも忘れて
本当に心からの笑顔で躍れた
多分今回の舞台の中でこの2曲だけだったと思う
真の笑顔は・・・
最後の2曲を踊りながらあたしは凄く幸せを感じた
踊ることの幸せ
皆と一緒に舞台を最後まで勤められた幸せ・・・
何箇所かあたしのヒザの為に
「あのシーンのあのヒザつくトコはしょるか?」
と、気を使ってくれた
でもあたしは全て断った
「最後だし、それじゃ自分納得しないからやります、やり通します!!!」
そして、その言葉を信じてくれた皆の優しさ
全てが嬉しくって仕方がない
今、この日記を書きながらも想い出しちゃって涙が止まらない・・・


あたしの今回の役はあまり今までに経験のない役だったけれど
どういう訳か好きだったんです
得意な分野のダンスではないけれど好きだったんです
本当は自分自身がもっと楽しめるような健康状態で舞台に望めていたら
よりよかったのだろうとは思うけど
それが悔しくて仕方ないけど
それでもあたしは今回の舞台の事は一生忘れないと思う
いえ
忘れちゃいけないと思う
今回の事を教訓に、少しでも体調に異変が起きたら
もう少し早くにきちんと反応して、そして対応すべきだと思った
※演じるだけがプロじゃないんだ!!!
速めに対応できていたらこんな悲劇は起きなかった訳だし
あたしの「なんとかなるさ」の性格が生んだ結果だから・・・
少し自分自身の改善をしなければいけないかもしれない
実は・・・
あたしはあたしが思っているよりも健康で丈夫ではないのかもしれない


まだ喉に軽く痛みはあるけど声は何とか出るようになりました
熱は・・・昨日は39度にまであがって耳鳴りがしたりしましたが
今日は昼過ぎからようやく37度をキープしてます
でも少ししたら又眠ります
足の事もあるし
暫くは仕事もそんなにこなせないと思うので
ゆっくり休みたいと思います
っていうか
まもなく次の舞台のリハーサルが始まるんだろうけど・・・それまでは・・・ネ


辛かったけど、記憶に残る舞台でした


【教訓】
「苦」も二つ・三つ重なると本と厄介です
そうなる前に手を打ちましょう!!!